不動産賃貸借のクーリングオフ

一般的に言って、不動産取引を規制する法律は「宅地建物取引業法」ですが、その宅地建物取引業法には、不動産の賃貸借契約について、クーリングオフできる旨の規定はありません。ですから、不動産の賃貸借契約(アパート・マンションを借りて入居する等、土地・駐車場を借りる等)は、クーリングオフできません。
(クーリングオフできないと言っても、話し合いにより合意解約することや契約内容に従い中途解約することは、もちろん可能です。)

ですから、不動産の賃貸借契約はクーリングオフできないと覚えていただいてよろしいのですが、極まれなケースとしてクーリングオフできる場合もあります。

それは、例えば不動産賃貸業や不動産管理業のように、宅建業に該当しない不動産取引(宅建業免許不要)というものがあり、それらの不動産取引には、「特定商取引法」(訪問販売や電話勧誘販売等を規制した法律)が適用される場合があるからです。

それでは、少し細かい話となりますが、宅地建物取引業法と特定商取引法との関係がどうなっているのか見てみましょう。




■ 「宅地建物取引業法」と「特定商取引法」との関係

不動産のクーリングオフ制度で説明したように、宅地建物取引業法(宅建業法)では、不動産がクーリングオフできるための条件は、@宅建業者が売主であるA宅地または建物の売買契約で、B事務所等以外の場所で申込み(契約)した場合、となっています。

ですから、不動産の賃貸借契約(アパート・マンションを借りて入居する等、土地・駐車場を借りる等)は、クーリングオフできないということになります。

このように、宅建業法には不動産の賃貸借にクーリングオフ規定がありませんが、常識的に考えても、宅建業者が「アパートを借りませんか?」といって訪問販売するようなことは考えにくく、また、途中で解約できる性質のものですからクーリングオフ制度が設けられていないことにも頷けます。

ところで、以上のお話は、宅建業法におけるクーリングオフ制度についてのことなのですが、それでは、訪問販売や電話勧誘販売等についてのクーリングオフ制度を規定した特定商取引法(特商法)では、どうなっているのでしょうか?特定商取引法では、訪問販売や店舗外取引、電話勧誘販売等での契約は、クーリングオフできる旨の規定があります。

実は、特定商取引法では、「宅建業者の行う宅地建物取引業」は特定商取引法の適用除外となっています。(宅建業には特商法は適用されません。)

ですから、売買契約で見れば、例えば、宅建業者が訪問販売をして住宅を販売しても、特商法が適用されませんから、特商法に基づくクーリングオフというのはできません。その代わり、宅建業法が適用され、宅建業法に基づくクーリングオフができるということになります。

同様に、賃貸借契約で見れば、宅建業者が行う(宅建業としての)賃貸借契約は、特商法の適用がありませんから、特商法に基づくクーリングオフはできませんし、また、宅建業法にも賃貸借契約のクーリングオフ規定がありませんから、宅建業法に基づくクーリングオフもできないということになります。

以上の通り、不動産の賃貸借契約は、通常クーリングオフできません。
(話し合いによる合意解約や契約内容による中途解約はもちろん可能です。)

ただし、例外として、「宅建業者の行う宅建業」に該当しない不動産取引なら特定商取引法のクーリングオフ規定が適用される可能性があります。



【参考】
不動産取引については、宅地建物取引業法や特定商取引法以外にも、消費者契約法の適用があります。ですから、業者の説明に嘘があったり、業者から契約の根幹に関する重要事項についての説明がなかったために誤認して契約したような場合は、消費者契約法の規定により契約を取消すことができます。
ただし、この場合は、現実問題として相手業者との交渉が必要になるでしょう。また、この場合の契約の取消しは、クーリングオフという無条件解除とは異なりますので、使用利益・不当利得の返還義務等が発生する場合があります。


 宅建業に該当しない不動産取引とクーリングオフ







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