クーリングオフ適用除外となる 宅建業者の事務所等とは?

前ページの「不動産がクーリングオフできるための要件」の一覧表を見ると、その4番に、「宅地建物取引業者の事務所等以外の場所で買受けの申込み、または契約締結をした買主であること」というのがあります。

要は、「宅建業者の事務所等で契約行為をしたらクーリングオフできないが、事務所等以外の場所で契約行為をしたらクーリングオフできる。」ということなのですが、これはどういうことかというと、まず、業者の事務所等で買い受けの申し込み(契約行為)をした場合についてですが、これは、通常、消費者が自ら事務所等に出向いて契約するケースであり、 訪問販売等に見られるような不意打ち性もなく、消費者に自発的な購入意思があることが明確であり、また、土地に定着した継続的に業務を行える事務所での取引は安定的であり、例えば契約後のトラブルについても対応可能であることから、消費者保護の必要性に乏しく、クーリングオフ制度の適用がないということなのです。

一方、事務所等以外の場所で契約行為をした場合については、その逆に、不意打ち性があったり、契約意思が曖昧なまま契約した可能性があるため、消費者保護の観点からクーリングオフ制度の適用があるということを意味します。

それでは、クーリングオフできない場所である「宅建業者の事務所等」とは、どういう場所を言うのでしょうか?

宅地建物取引業法第37条の2によれば、クーリングオフできない「事務所等」とは、「宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令で定める場所」となっていますが、それをまとめたのが、次の表です。



クーリングオフできない事務所等 (代理・媒介する宅建業者の事務所等を含む)

(神 行政書士事務所作成)

専任の取引主任者の設置義務 契約行為(申込み、または契約締結)の場所 クーリングオフの可否
事務所 (法3条1項)
@ 本店・支店(主たる事務所・従たる事務所)
A 継続的に業務を行う施設を有する場所(契約締結権限を有する者が置かれている)

※事務所には、契約締結権限を有する者及び専任の取引主任者が置かれている。
※住宅金融公庫融資付物件の販売等のように一時に多数の顧客が対象となるような場合において特定の場所で申込みの受付等の業務を行うことが予定されているようなときは、その特定の場所については、法第37条の2(クーリングオフ)の運用に限り事務所に含める。
×
契約行為を行う
(法50条2項の届け出義務あり)
継続的に業務を行う施設を有する場所(契約締結権限を有する者が置かれていない) ×
一団の宅地建物(10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物)の分譲を行う案内所

※駅前案内所、申込受付場所等を含む
土地に定着する建物内

※モデルルーム、モデルハウス等
×
テント張り、仮設小屋等一時的かつ移動容易な施設
展示会等の催しを実施する場所 土地に定着する建物内 売買契約に関する説明の後に行われる催し ×
その他
テント張り、仮設小屋等一時的かつ移動容易な施設
契約行為を行わない 継続的に業務を行う施設を有する場所
一団の宅地建物の分譲を行う案内所
展示会等の催しを実施する場所
買主自らの申し出による自宅・勤務先 ×

※クーリングオフの可否の欄が「×」(クーリングオフできない)になっている場所が、クーリングオフできない(クーリングオフ制度の適用を除外される)「宅建業者の事務所等」になります。


条文≫ (宅地建物取引業法)
クーリングオフ … 法37条の2
事務所 … 法3条1項施行令1条の2
国土交通省令で定める場所 … 施行規則16条の5法15条1項施行規則6条の2




この表をご覧になってもわかるように、クーリングオフできない場所(クーリングオフ制度の適用がない場所)とは、専任の取引主任者(宅地建物取引主任者証の交付を受けた者)の設置義務のある場所となっています。または、宅建業法の「3条1項に基づく事務所」と「50条2項の届け出義務のある場所」と言い換えることもできます。

なお、クーリングオフ制度の適用の有無は、専任の取引主任者を設置しなければならない場所かどうかで判断し、実際に専任の取引主任者がいるかどうかや標識(法50条1項)を掲げているかどうか、届出(法50条2項)がなされているかどうかで判断されるものではありません。もし、クーリングオフ制度の適用がある場所において、その旨の標識が掲げられていない場合等は、それぞれ該当する各条項の違反となりますが、 このことでクーリングオフ制度の適用の有無に影響を与えるものではありません。(【宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方】(国土交通省)より)

ところで、専任の取引主任者を設置すべき場所か否かでクーリングオフ制度の適用の有無を判断する方法には、例外があります。

上の表をご覧になっていただければわかりますが、専任の取引主任者の設置義務がある場所でも、クーリングオフ制度の適用のある場所があります。上の表で、クーリングオフの可否の欄が「○」(クーリングオフできる)になっている場所です。 主として土地に定着していないテント張り等の施設の場合ですが、これらの場所は、専任の取引主任者の設置義務がありますが、クーリングオフ制度の適用があります。

また、買主が自ら自宅または勤務先を指定して、売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にも、その自宅または勤務先での契約行為については、クーリングオフできません。

まとめると、「クーリングオフできない場所(宅建業者の事務所等)」とは、「専任の取引主任者の設置義務のある場所(例外あり) + 買主自ら申し出た自宅・勤務先」ということになります。上の表では、クーリングオフの可否の欄が「×」(クーリングオフできない)になっている場所が、 クーリングオフできない(クーリングオフ制度の適用を除外される)「宅建業者の事務所等」になります。


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