不動産のクーリングオフ

(神 行政書士事務所作成)
不動産というのは土地や建物(住宅、一戸建て、マンション(区分所有建物)等)のことを言いますが、この不動産のクーリングオフ制度は、宅地建物取引業法(宅建業法)に規定されています。 法律で定められたクーリングオフできる期間は8日間です。

ただし、宅地建物取引業法で規定する不動産のクーリングオフ制度は、「宅地建物取引業者(宅建業者)が自ら売主となる宅地または建物の売買契約」について定めた規定であり、 全ての不動産取引がクーリングオフできるわけではありません。(例えば、賃貸借契約や新築・増改築工事の請負契約等には、宅建業法のクーリングオフ規定の適用はありません。(特定商取引法適用の余地あり))

なお、クーリングオフできない場合でも、不動産売買には、手付金の放棄による契約解除やローン不成立による契約解除の仕組みがあり、契約直後なら契約を解消できる場合もあります。( 【参考】 この場合の契約解除は、クーリングオフとは別のものです。)



それでは、不動産のクーリングオフ制度について見て行きましょう。まずはその概要ですが、概ね次の表の通りとなっています。

不動産がクーリングオフできる場合とは、@宅建業者が売主であるA宅地または建物の売買契約で、B事務所等以外の場所で申込み(契約)した場合、となっています。



不動産のクーリング・オフ制度概要

取引内容 クーリングオフ期間 適用対象 法律
宅地建物売買契約


賃貸借は対象外
8日間

(クーリングオフ制度の告知の日(が1日目)から8日以内に発信)
宅地建物取引業者が売主である宅地建物の売買で、店舗外での取引

※手付解除制度あり
宅建業法37条の2
※クーリングオフ期間は、初日を参入して計算する。
※クーリングオフ通知書をクーリングオフ期間内に発信すれば良い。通知書の到着は期限後でも良い。

≪クーリングオフできる場合、できない場合の例≫
例えば、宅建業者から投資用マンションの購入を勧める電話があり、後日、営業担当者と何度か会って説明を聞き、喫茶店でマンション購入の申込書(契約書)に記入した場合や 宅建業者による自宅への訪問販売で土地の購入を勧められ契約したような場合はクーリングオフできます。

一方、自ら住宅を購入する意思を持って建売住宅の展示会場(事務所等に該当する場所)に出向き、そこで契約をしたような場合や不動産屋の店舗を訪れアパートの入居契約の申込みをしたような場合は、クーリングオフできないということになります。



次に、条件をもっと細かく見て行くと、不動産に宅建業法上のクーリングオフ制度が適用されるためには、次の要件を満たす必要があります。


不動産がクーリングオフできるための要件(神 行政書士事務所作成)

1. 宅地または建物の売買契約であること

※山林や農地、駐車場等であっても宅地とみなされ得る
宅建業法37条の2
2. 売主が宅地建物取引業者であること

※個人または法人の宅建業者が契約上の売主であること (※a)
宅建業法37条の2
3. 買主が宅地建物取引業者ではないこと 宅建業法78条2項
4. 宅地建物取引業者の事務所等(店舗、営業所、案内所、モデルルーム等)以外の場所で買受けの申込み、または契約締結をした買主であること

※但し、次の場合を除く (次の場合はクーリングオフできない)

@ 先に事務所等で買受けの申込みをし、後に事務所等以外の場所で契約締結をした場合 (※b)

A 契約行為の場所が自宅または勤務先であっても、その場所が買主の申し出による場合


※自宅または勤務先への来訪が、売主(宅建業者)の申し出による場合はクーリングオフできる。また、買主の申し出による場合でも、ホテルや喫茶店等の場合はクーリングオフできる。

【参考】 申込みと契約締結の違い / 宅建業者の事務所等とは
宅建業法37条の2
施行規則16条の5
5. クーリングオフ(できる旨及び方法)について書面を交付して告げられた日から起算して8日以内であること

※業者にはクーリングオフについての告知(書面交付)をする義務はない。ただし、クーリングオフの対象である場合に告知をしないと(業者から告げられないと)永久にクーリングオフできることになるので、消費者のクーリングオフ権を排除(告知から8日で消滅)するため、クーリングオフの対象である場合には告知が行われる。
※買受けの申込み(契約締結が同時の場合もある)以降にされた告知の日から8日間の計算をするのであり、例えば、契約締結日から計算するのではない。
宅建業法37条の2
施行規則16条の6
6. 宅地または建物の引渡しを受けていないこと、または、代金全額を支払っていないこと

※どちらかに該当すれば可 (引渡しを受け、かつ、代金全額を支払った場合はクーリングオフできない)
宅建業法37条の2


※a (2番について) 宅建業者が契約上の売主であること

売主 代理・媒介 買主 クーリングオフの可否
宅建業者 なし 宅建業者ではない
宅建業者 宅建業者 宅建業者ではない
宅建業者ではない 宅建業者 宅建業者ではない ×

※個人間売買の場合や宅建業者でない個人や法人が所有する中古物件等の売買を宅建業者が
代理・媒介する場合は、クーリングオフの対象外となる。



※b (4番@について) クーリングオフできるかどうかは、申し込みをした場所がどこかで決まる

申し込み 契約締結 クーリングオフの可否
事務所等以外 事務所等以外
事務所等以外 事務所等
事務所等 事務所等 ×
事務所等 事務所等以外 ×

※1と3は、買い受けの申込みを受けた際に売買契約を締結した場合、つまり、
申込みと契約締結が同時の場合を含む




定義≫ (宅地建物取引業法第2条)
宅地とは
建物の敷地に供せられる土地
(都市計画法第8条第1項第1号の用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外のものを含む)
注意】 但し、宅地であるかどうかは現況で判断するものではない。(現に建物の敷地に供せられている土地に限らず、広く建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地をいうものであり、その地目、現況の如何を問わないものとする。【宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方】(国土交通省))


宅地建物取引業者とは
国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けて、宅地建物取引業(宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為を業として行なうこと)を営む者


【参考】 不動産の私的な売買
宅建業者でない個人や法人の、業として行わない私的な不動産売買の場合には、宅地建物取引業法、特定商取引法のいずれにおいてもクーリングオフ制度はありません。なお、不特定多数を相手に売買する場合は、宅建業者となりますので、宅建業の免許が必要です。(「1回の販売行為として行われるものであっても、区画割りして行う宅地の販売等複数の者に対して行われるものは反復継続的な取引に該当する。」 その他、「業として行なう」の判断基準は、【宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方】(国土交通省)参照のこと)




まとめ
ですから、クーリングオフできるのは、「宅建業者が売主の、宅地・建物の売買契約で、事務所等以外の場所での申込み(契約)。(クーリングオフ期間は8日間)」であることを基本として押さえ、さらに細かい要件を上記の表に当てはめて見て行くことになります。

なお、不動産売買に関しては、クーリングオフができない場合でも、手付金の放棄により契約解除ができる場合やローンの不成立により契約解除がなされる場合、債務不履行による契約解除等の場合もありますので、クーリングオフができないからといって直ちに契約解除の道が途絶えるわけではありません。



クーリングオフの方法

クーリングオフは、「クーリングオフできる旨及びクーリングオフの方法について告げられた日(書面を交付して告げなければならない)」から起算して8日以内に書面で行います。

書面で行うことは法律に規定されています。(宅建業法第37条の2)
書面とは、ハガキ、封書、内容証明郵便、FAX等を言いますが、一般的にクーリングオフは、ハガキか内容証明郵便で行われています。 ただし、契約を解除(クーリングオフ)した証拠を残し、後からそんな郵便は届いていませんとか、ハガキは届いたけれどクーリングオフするとは書いてありませんでした、などとトラブルにならないために、相手が悪徳会社の場合や契約金額が高額の場合は内容証明郵便が推奨されます。

そこで、不動産の売買契約に関しては、契約金額も高額であることから、内容証明郵便でクーリングオフが行われることが一般的です。

なお、口頭で業者にクーリングオフの申し出を行えば説得されるのが常ですが、業者が口頭のクーリングオフを受け付けてくれた場合には、解約した旨の書面を証拠として残しておくべきです。業者によっては、解約証書を作成して交付してくれる場合もありますが、解約の書面を交付してもらえない場合には、 内容証明郵便でクーリングオフ通知書を送付して解約したことの証拠を残しておくことが望ましいでしょう。


 クーリングオフ適用除外となる宅建業者の事務所等とは?







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