申込みの撤回と契約解除の違い/2つのクーリングオフ

申込み契約締結の違い (申込書と契約書の違い)

クーリングオフについて書かれた説明書を読むと、しばしば次のような記載を目にします。

申込みをした者」または「契約を締結した者」は、「申込みの撤回」または「契約の解除」を行うことができる。

実は、「申し込み」と「契約の締結(成立)」は違うのです。

例えば、ある商品の販売業者に対して、お客さんが「買いたい」「売って欲しい」と申し出れば、それは商品買い受けの「申込み」です。

しかし、お客さんが申し込んだとしても、販売業者はそれを断ることができます。そして、販売業者がお客さんの申込みを承諾すれば、そこではじめて契約の締結(成立)となるわけです。 ですから、申込みをしたまま契約締結まで至らない段階というのがあるのです。
(※ 申込みと契約締結(契約成立)が同時のケースもあります。)

例えば、ネット通販で買い物をする場合に、欲しい商品を見つけて購入申込みのメールを送っても、その段階では「申込み」をしただけで、まだ契約は成立していません。販売業者は、まだそのメールを見ていないかもしれませんし、その商品は在庫切れで売ることができないかもしれません。 ですから、お客さんから商品購入の申込みを受けても、販売業者がそれを了承するまでの猶予期間があるわけです。

同様に、例えば、商品の購入をする際に、代金の支払い方法としてクレジット・ローン契約の申込みをする場合があります。クレジット・ローンの申込書に住所・氏名等の必要事項を記入し、印鑑を押して提出しますが、その時点では契約は成立していません。 信販会社はその申込みを断ることができますし、契約内容やお客さんの支払い能力について審査をし、許可した場合でなければ契約成立とはならないのです。

このように、お客さんからの申込みがあっても、担当者に契約締結の権限がなく、相手の会社や上司の許可がないと契約成立に至らないというケースもあるのです。


(【参考】 実務上、@申込書と契約書の2枚があるケース、A申込みを受けた際に同時に契約を締結して、契約書のみ1枚のケース、B申込書が1枚のみで契約書を兼ねるケース(後に契約が成立すれば、その申込書を契約書とみなす)があります。)



2つのクーリング・オフ

ところで、申込みはしたものの契約締結(契約成立)には至っていない段階で、申し込みをした本人に契約する気がなくなったらどうなるのでしょうか。契約は成立していないのだから、放っておけば良いのでしょうか?

いえ、申し込みをした以上、お客さんはその申し込みに拘束されます。たとえ気が変わって契約する気がなくなっても、相手(販売業者)がお客さんの申込みを承諾すれば、通常その時点で契約は成立となります。

なお、もしその契約がクーリングオフ制度の対象である場合は、気が変わって契約する気がなくなったら、一方的に無条件にその契約をやめる(クーリング・オフする)ことができますが、その場合でも放っておけば良いということにはなりません。 クーリングオフは、「契約が成立する前ならしなくても大丈夫」などということはないのです。

申込みをした以上、クーリングオフしなければ契約は成立してしまいます。そこで、「申込みの撤回」というクーリングオフをする必要があるのです。 そしてこれが、契約を締結した後(契約成立後)なら、「契約の解除」というクーリングオフになります。


(【参考】 お客さんが申し込んでも販売業者側の都合で契約成立に至らなかった場合は、契約は白紙(解約)になったのですから、この場合はクーリングオフしなくても大丈夫ということになります。 ただし、契約が解約されたことの証拠としての書面を手元に残しておいた方がより安心できますので、そのようにしたい場合は、販売業者から解約証書(合意解約書)を受け取るか、または、自ら内容証明郵便などでクーリングオフ通知書を送付しておけば良いでしょう。)

このように、クーリングオフには、「申込みの撤回」と「契約解除」という2つのクーリングオフがあるのです。

ただ、実務上、この2つを厳密に区別する必要はありません。クーリングオフ通知書の書き方も、「申込みを撤回し、または契約を解除します。」でも良いし、単に「契約を解除します。」または「クーリングオフします。」でも良いでしょう。






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